日々のつれづれ

大切なこともそうじゃないことも、ゴッチャマゼ

遥かなるルネサンス展

現在、青森で開催されている、「遥かなるルネサンス展」を見に行ってきました。 www.fujibi.or.jp

この、「遥かなるルネサンス展」は全国3ヶ所で公開予定です。(青森は二番目の開催)

 

神戸市立博物館(公開終了)

 2017年4月22日(土)〜7月17日(月・祝)(75日間)

青森県立美術館(公開中)

 2017年7月28日(金)〜9月10日(日)(39日間)

東京富士美術館

 2017年9月21日(木)〜12月3日(日)(64日間)

 

青森、一体どうやってこの素晴らしい作品を連れてこれたんだ!?と思いました。このメンツに青森が入ってるのって、奇跡じゃないか?!(よくやった!) 

 遥かなるルネサンス展では、16世紀後半のイタリアを訪れた天正遣欧少年使節の足跡をたどりつつ、“日本人が初めて見たヨーロッパ文化” “日本人が初めて見たイタリア・ルネサンスの芸術”に焦点を当てて、ルネサンスの豊穣なる美の世界を探求します。 

 

行ったのは昨日なのですが、平日でしたので青森市民のレベル的には閑散としているかと思いきや(失礼!)、意外に人がいて、ホッとしました。

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一緒に来た友達と絵のことについて小声で話すのはありがちなのですが、小声じゃなくて普通のおしゃべり(ダンナや家族や子供の学校や料理や菜園や季節なんかについて)の中でまた絵の事に戻ったり、どこで立ち止まろうが、基本的に気にせず。それ以外にもたまに泣きぶ子も叫いて。

・・というその結果、開場がザワついてすごい(笑)

平日でこの程度なら、土日はすごかったんじゃないか・・?

 

「これ本物?コピーじゃないの?」「コピーって書いてないから本物なんじゃね?」「えー?凄い?」とか。

 (姐さん、本物じゃなかったらレプリカって書いてあるって!)(〉私の心の声)

 

周りがこういう見方だと、気楽に見れますねぇ

地元でのこういう展覧会はぜひ成功してほしい。(次に繋げてほしい一心)

 

 

今回の作品の中では、やっぱりダントツに気に入ったのは伊藤マンショの絵ですね。元老院によってヤコポ・ティントレットに発注された肖像画。のちに息子のドメニコが完成させたもの です。

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天正遣欧少年使節については、高校で日本史を選択していれば、教科書で(1.2ページほど触れる程度ですが)取り上げています。(世界史だとどうなの?わかんないけど)

その後、実際に彼らがどこを訪れて、どういう歓待を受けて、そして彼らが何を思ったのか。

その後どういう末路をたどったのか、ということについては、残念ながら学校では教えてくれません(残念ながら試験に出ないので暗記対象でもなし)。もし知りたいときは自力で探すか調べるしかないです。その答えの一部がここにあります。

 

天正遣欧少年使節が派遣されてから約8年後の帰国。

その当時の日本の情勢は、派遣時のそれとは大きく変わっています。その後少年達(帰国時には既に青年ですけれど)は、それぞれの生を全うすることになります。

 

個々のその後を想うとき、伊藤マンショのあの眼差しを思うのです。

威厳に溢れ、それでいて尊大ではなく、すべてを受け入れ、そして静かに佇む。

 

天正遣欧少年使節の4人(体調不良で出席は3人のみでしたが)を、当時のローマ法王、全世界のキリスト教圏における神の代理者が滂沱の涙を流して東の果てのアジアの帰依した人々(日本人)を4人を通じて抱擁したと言いいます。

物凄いことだよ。(私はキリスト教徒じゃないけどさ)

この絵が2014年に発見されたのは本当によかった!!

おかげで顔が分かる!(4人の少年の、妙な顔の絵しか残ってなかったよね?) 

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これじゃ誰がどれだか・・・ギャグにしか見えない・・・

 

今回の企画展では、個々の絵画に関しては、「伊藤マンショの肖像」、「ビア・デ・メディチの肖像」、そして伊藤マンショが残した筆がとても興味をひかれしまた。

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この小さい子(ビア)は無くなってから父親であるコジモ1世が当代きっての宮廷画家、ブロンズィーノに依頼して書いてもらったものです。

きっと、たぶん生き写しだよね。

 

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ヴェネツィア共和国政府への感謝状(※青森・東京会場のみ)

ヴェネツィアでとてもよくしてもらったので、そのお礼状ですね。そもそも伊藤マンショが日本国の正使なのですが、今回のこのお礼状は彼のみならず、4人全員の花押が残されています。(非常な感謝を表す、すごいこと)

解説文の他、漢文(としてのレ点や返り点付き)訳もついていますので、訳の方は頑張って読もうと思えれば読めます。(自分としてはそれが凄い嬉しかった)

 

 

今回の企画展では、個々の絵や展示品は全く物凄い価値のあるものなのですが、その価値のみならず、当時の天正遣欧少年使節の4人の純粋な未来・将来への夢や信仰の篤さ、人生を全うするべく努力する姿勢、他者に奉仕する労わりや愛が絵画・手紙・その他を通じて感じとるができます。

 

そういう意味では、この企画展は大変価値のあるものであり、個々の作品を通して天正の時代を感じることができる素晴らしいものだと思います。

 

個人的には、「天正遣欧少年使節の足跡をたどりつつり“日本人が初めて見たヨーロッパ文化” “日本人が初めて見たイタリア・ルネサンスの芸術”に焦点を当てて」の部分はちょっと弱い気がしたけど。

うーん、金額的には仕方ないか。(でも3カ所のうち一番お高いのだけど。でも集客力がねぇ(^^;))(ま、いいや)

 

興味を持たれた方は機会があったら、ちょろっと行ってみてくださいね(^^)

青森会場なら、もれなくシャガールのアレコ4枚が見れます。

www.fujibi.or.jp