日々のつれづれ

大切なこともそうじゃないことも、ゴッチャマゼ

高慢と偏見(原題: Pride and Prejudice)1940年

高慢と偏見(Pride and Prejudice)1940年(アメリカ合衆国)
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ジェーン・オースティンの同小説の最初の映画化だそうです。
DVD画像は▲ですが、こっち▼の方が顔がよく見えるかも。(Amazon Primeで観ました)
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美しいですね。

どんな風になってるかな、と楽しみに観ました。

ここらから先は、1940年の高慢と偏見のあらすじと感想、それと1995年のイギリスBBC放送のテレビシリーズ(大好き)との違いなどをチョイチョイ挟みます。なので、かなり長いです。無理な方はお引き取りくださいませ。

 

ベネット家ご夫妻と5人姉妹。
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どうやっても次女エリザベス(グリア・ガースン)が抜きんでています。(中央)
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どうやっても主役ならではの輝くオーラが次女っぽくない。

5人姉妹のベネット家。
ベネット家では男子が家督を継ぐことになっているので、ミスター・ベネットが亡くなった後、財産は従妹のコリンズに渡ってしまいます。

このためミセス・ベネットは、5人の娘達の将来を考えると、なんとしてでも"条件のいい結婚"をして欲しくてたまりません。特に、長女ジェーンは年頃でもあり美しく性格も控えめで5人姉妹の中では"条件のいい結婚"の第一候補です。そして末娘のリディアは器量も良く愛嬌もあり自分に似て陽気でつい贔屓してしまいます。
ミスター・ベネットは、利発な次女エリザベスがお気に入りです。

ある日、ご近所のネザーフィールド荘園に裕福なビングリーが引っ越してきました。
ご婦人方の噂話によると、ビングリーは独身で、年収はざっと見積もって5000ポンド。さらに彼の親友のダーシーは不動産収入だけでも年1万ポンドとのこと。(噂ってほんと早い)
これにはベネット家以外にもルーカス家等、年頃の娘がいる家庭では色めき立ち、「ぜひ、我が娘を嫁に!!」と気合が入ります。

お近づきのための舞踏会にネザーフィールドの方々を招待し、ミセス・ベネットは長女ジェーンを筆頭に5人姉妹のうち誰でもいいから目に留めて欲しいと張り切ります。

 

舞踏会の最中、エリザベスとシャーロットが別室で休憩している時に、偶然ダーシーのエリザベスに対する皮肉な感想を聞いてしまいました。

「所詮は田舎娘だ。母親を見ればわかる。」
「踊るのは母親じゃない。彼女は魅力的さ。」
「悪くはないが、今夜は中流階級に付き合う気はない」
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プライドを気づ付けられて怒り心頭のエリザベス。「傲慢で気取ってて!」

あそこまで言われれば腹が立つのも当然です。が、エリザベスに対する感想はともかく、母親は友達と結婚や財産の話を大っぴらにしてるわけで、ちょっと仕方がない部分かもしれません。

この後、ダーシーは気を取り直したのかエリザベスの魅力に気づいたのか(笑)、エリザベスをダンスに誘うために紹介してもらいましたが、エリザベスはコテンパンに断り、ダーシーの目の前で別の人とのダンスを快諾します。それはウィカムでした。

ネザーフィールド荘園の住人の他、この舞踏会には駐留していた軍の隊員も招待されていました。
軍人のウィカムは涼やかな美貌、優雅な物腰そして洒脱な会話で、リディアを筆頭に婦女子のハートを鷲掴みです。特にエリザベスには自分とダーシーの間の確執と現在の境遇について率直に語り、それは先ほどの傲慢無礼なダーシーの印象そのままの話でしたので、エリザベスはウィカムの話をすっかり信じてしまいました。

このシーンでエリザベスの前にウィカム登場とは。ずいぶんと省略している印象です。とはいえ、ウィカムの八方美人で人に取り入る雰囲気はそのまんま。

舞踏会ではビングリーは長女ジェーンに好意をもち、ジェーンを自宅に招待します。ジェーンはミセス・ベネットの指示で、雨の中馬車も使わずわざわざ馬で訪れることになり、訪問先で風邪を引いてしまい寝込んでしまいます。(策略)
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お見舞いに来たエリザベスですが、どっちが長女だかわからない。

ネザーフィールド荘園に引っ越してきたのはビングリーと妹キャロライン。原作では他に姉とその夫もいましたが、省略されています。でも妹のキャロラインの意地の悪さは変わらない。

それとは別に、従妹のコリンズがベネット家を訪ねてきます。(右の男性)
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彼の訪問の目的は、彼を司書として引き立ててくれた敬愛するレディ・キャサリン・デ・バーグに結婚を勧められたこともあり、ベネット家の財産を奪ってしまう償いとして姉妹の内の誰かを結婚相手に選ぶためでした。
最初こそジェーンの美しさに目を留めたコリンズですが、ミセス・ベネットから「ジェーンは相手がおりまして・・」という仄めかしを受けて、エリザベスに白羽の矢を立てます。
その後何くれとエスコートしようとしましますが、まぁ、ね。

コリンズの設定が牧師ではなく司書でした。
個人的にはコリンズの印象が柔らかくてビックリしました。原作は絶対道化ポジションだったので、もっとキャラが濃かったらよかったかも。
個人的に、コリンズは1995年のデイヴィッド・バンバー( David Bamber )が一番です。
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彼、最強。

ジェーンが全快すると、ビングリーはガーデン・パーティーを開きます。
的あて、大型ブランコ等、様々なアトラクションがそろっています。(さすがお金持ち)
チャンスとばかりにコリンズはエリザベスに絡みたくて仕方がないけど、エリザベスは逃げてます。それをかばってくれたダーシーと的あてをお試し。
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ダーシー、エリザベスにかまってもらいたくて仕方ない感じがにじみ出ています。

ガーデンパーティーは原作にありませんが、エリザベスの負けん気の強さが出てていい感じです。ダーシーは原作ほど寡黙ではありません。(っていうか、私の脳内ダーシー変換は1995年のコリン・ファースなので、勝手に寡黙ってことにしてますけど、原作もかなりしゃべってませんよね)

このガーデン・パーティの最中、エリザベスとジェーン以外のベネット家は残念ながら品がない行いを連発してしまいます。
3女メアリーはあまり上手くない歌を調子に乗って歌い続けてしまい、しかも、ミスター・ベネットは公衆の面前でいきなりそれを中断させてメアリーに恥をかかせてしまう。ミセス・ベネットは誰が聞いているかわからないような人目のある場所でビングリーとジェーンの結婚について策略を巡らせていることや財産のことを憚りなく話し、4女キティは酔っぱらい、5女リディアは酔っぱらったキティを面白がって騒いでいる。
そんな姿をエリザベスはダーシーと一緒にいるときに目撃することになり、自分の家族の品のなさを恥ずかしく思います。

ここら辺のエリザベスとジェーン以外のベネット家の品のなさ具合の披露は原作通りです。これがなければ次に進めませんから必須ですね。

場面は代わり、コリンズはエリザベスに果敢にプロポーズをすることにしたようです。(そのためにベネット家に滞在していたのですから、当然の流れですけど)
原作通りにうんざりするような「結婚すべき理由」を長々と挙げプロポーズ。エリザベスにはキッパリと断られるのですが、それすら自分に良いように解釈してしまい、全くわかっていません。が、ミセス・ベネットの慌てぶりに「え・・本気・・?」とようやく気が付き、エリザベスは慎み深いだけの娘ではないことを(ようやく)察し、そのまま退場です。

そこにビングリーの妹キャロラインからジェーン宛の手紙が届き、兄ビングリーは仕事の都合でロンドンに長期滞在することになり、ネザーフィールド荘園には戻る予定がないことを知らせてきました。失意の姉ジェーン。慰めるエリザベス。

そして翌日、ルーカス家から知らせが届きます。
昨日エリザベスに求婚していたコリンズが、なんとまぁ、翌日にはエリザベスの親友シャーロットと婚約したとのこと。

昨日の今日のこの急展開は、なんの仄めかしもなかったのでちょっとびっくり。コリンズがどんな経緯でシャーロットに乗り換えたのかちっともわからないです。

エリザベスは大親友があんな愚か者と結婚するのが信じられませんが、シャーロットには彼女なりの理由があるわけで。
納得できないながらも最後には祝福し、新居を訪ねることになりました。

コリンズの社会的地位を確実にしているのは、レディ・キャサリン・デ・バーグとの交際にあるといっても過言ではありません。エリザベス達がコリンズとシャーロットの新居に滞在した際、早々に招かれることになります。

レディ・キャサリン・デ・バーグ。強烈な個性の持ち主。
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私が敬愛する1995年のバーバラ・リー・ハントと同じくらい強烈。
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脚本の都合なのか、強烈の見せ具合がサックリしていて、ちょっと残念な感じもします。

そこで特別ゲストのダーシー登場です。

ピアノを前にしてのダーシーとのやり取りなど、重要シーンはそのままです。
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エリザベスはこの滞在中に、同じく滞在していた大佐から、姉ジェーンとビングリーの別離を画策したのは当のダーシーであると聞いてしまいます。

かなり展開は早いですが、テンポがいいといえばそうかもしれません。が、早い。原作を知ってるので、違いとかを楽しみながら観れますが、筋を知らないで観ていると、テンポよく話が進みすぎて、結局ドタバタな気がします。(最後まで観れば、そういう種類の映画なんだとわかるけど)

恋心が募るダーシーはエリザベスに求婚します。
しかし、エリザベスのダーシーへの印象は最悪のまま、おまけに彼はジェーンを悲しませた張本人であり、さらに求婚の際に不釣り合いな身分の結婚についてアレコレ言われ、怒り心頭のエリザベスにコテンパンに振られてしまいます。
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(だよね)

断られると思っていなかったダーシー、ただポカン。

様々あったコリンズ・シャーロット宅訪問を終えて自宅に戻ると、新たな問題が勃発していました。
今度はガチ事件、リディア・ウィカム駆落ちです。

当時、結婚前の男女が結婚(式)もせずに失踪するだなんて、宗教上・倫理上・通念上、周囲は気絶しかねないほどの恥ずべき大事件。本人達は当然のこと、その周りの家族・親戚も、恥晒しの汚名を着せられ、当然姉妹は「幸せな結婚」だなんてできるはずがありません。

そこへ再びダーシー登場。

彼は前回のプロポーズを蒸し返すためではなく、失意のエリザベスにウィカムの真実を告げるために訪れたのです。
実はプロポーズの際に、エリザベスはダーシーがウィカムへ酷い扱いをしたと糾弾しているのですが、そもそもそれはウィカムが保身のためにでっち上げた嘘だったのです。しかし、ダーシーはそれについて詳しく語らなかったため、誤解したままでした。

実は、ウィカムは、ダーシーの妹ジョージアナがリディアより若い頃、駆け落ちする気満々で騙し、それをネタに結婚を迫り、財産をぶんどる気でした。
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ホント、ウィカムって最悪だよなぁ。(でも居そうだ)

この時、エリザベスはダーシーの誠実さ(と愛情)をヒシヒシと感じ、自分が物凄い偏見を抱いてしまったことを後悔するのですが、 もうどうにもできません。

ベネット家が汚辱を雪ぐ唯一の道は、リディアとウィカムを探し出し、直ぐにでも結婚させ、体面だけでも正規の祝福を得た形にすることなので、ミスター・ベネットはロンドンに2人を探しに行きますが、残念ながら二人は見つからず、失意のうちに自宅に戻ります。
ベネット家は、家族の一人が恥晒しとなってしまったため、このままこの地域に住み続けるわけにもいかず、もっと格下の地域に引越しすることにしました。 

引っ越し作業で慌ただしい中、コリンズが訪ねてきました。この男、逃げるように出ていくベネット家の様子を見に来たのです。(なんて奴だ)

ちょうど叔父(ミセス・ベネットの弟)から手紙が届き、なんとリデアが見つかり、ウィカムと結婚したとのこと。その他、リディアへの財産分与の条件について書かれており、その金額もミスター・ベネットの財産からすると、順当な額です。

ただ、嘘つきで浪費家で賭博が好きなウィカムが、この程度の財産分与でリディアなんかと結婚するのかはなはだ疑問でしたが、とりあえず結婚は良しとして、ミセス・ベネットに知らせようとします。このタイミングで新婚リディア・ウィカムが登場します。

引越しする話は原作にありません。でも、家族がそこに居られなくなるくらいのヤバいことをしでかしたわけですから、あるかもしれません。
にしても、コリンズが訪問した時に手紙でリディアの結婚の知らせが来て、そのタイミングでリディアとウィカムが登場するのって、かなり出来過ぎてます。時間が押してるんですか。

そしていきなり乗り込んでくる、レディ・キャサリン・デ・バーグ。

ここで彼女も来ますか!!

ダーシーとエリザベスが婚約をしているのではないかという噂があり、その真偽を直接確認しに来たのです。
レディ・キャサリン・デ・バーグはダーシーの母親(故人)の被信託人であり、彼の財産を管理できる権利があるため、「ダーシーと結婚しても、彼は無一文だよ!!」と脅しに来たのです。
エリザベスが財産狙いだと思ってるわけですね。

ここで、レディ・キャサリン・デ・バーグはダーシーとエリザベスの結婚の根拠について、ウィカムとリディアの結婚を世話したのは、他でもないダーシーであると話します。
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それに対して気丈に対応するエリザベス。気の強さだけは天下一品。
全く配慮のないエリザベスの態度に、キャサリン・デ・バーグは激おこで帰ります。

こちらは1995年の激おこレディ・キャサリン・デ・バーグ。
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ここで、なんとダーシーも登場です。

ここのストーリー改変はビックリ。
レディ・キャサリン・デ・バーグ、メチャ良い人になっています。

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ジェーンにはビングリーが訪ねてきます。
そして、結婚を申し込むシーンが奥ゆかしくて素敵です。

その立役者はダーシーではなく、なんとビングリーの妹キャロライン。
キャロラインがビングリーに戻るように仕向け、ダーシーはビングリーの決定に同意しただけだとのこと。

あのキャロラインが!なんと!良い人になってる!信じられない・・・

 

最後の最後、3女のメアリーはウィザリントンと、4女キティは軍人のデニーと、 それぞれ仲良くなっているシーンがあります。
「3人の結婚が決まり、残りの2人も決まったようなものね!」とミセス・ベネットのニコニコ顔で幕を閉じます。

 

原作では5人が5人とも片付いてはいませんが、この映画の中では大団円がお約束みたいなものでしょうから、その方が良いのかもしれません。
引越しの混乱の中、最後の最後で立て続けに様々な人物が登場していますが、あの後どうなったんでしょうね。
きっと、コリンズなんて誰からも相手にされずにこっそり帰ることになった気がします。
厚顔無恥のリディア・ウィカムはそのまま数日滞在しそうですね。
あんなに散らかった部屋の荷物の片づけもなかなか終わらないでしょうし、一気に2組の結婚が整ったわけで、歓迎の晩餐(食事の支度)とかどうなったのかな。後日改めて、ということにしたんでしょうか。

この物語は原作とはかなり違いますし、人物の設定とか中途半端な感じがしますし、かなりドタバタですが、なかなか好きです。