日々のつれづれ

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帰ってきたヒトラー(Er ist wieder da )

帰ってきたヒトラー(Er ist wieder da 「彼が帰ってきた」)

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帰ってきたヒトラー - Wikipedia

 1945年に自殺したアドルフ・ヒトラーは、自殺直前の記憶を失った状態でベルリンの空き地で目を覚ます。ヒトラーは戦争指導に戻るため総統地下壕に向かおうとするが、ベルリンの人々が自分を総統と認識していないことに疑問を抱く。ヒトラーは情報を得るために立ち寄ったキオスクで、自分がいる時代が2011年のベルリンであることに気付き衝撃を受け、空腹と疲労が重なりその場に倒れ込んでしまう。
 倒れ込んだヒトラーは、キオスクの主人に介抱され目を覚ます。キオスクの主人はヒトラーを見て「ヒトラーそっくりの役者かコメディアン」だと思い込み、「店の常連の業界人に紹介するから、しばらく店で働いてくれないか」と頼み込んだ。

 地位も住処も失ったヒトラーは、生活の糧を得るため仕方なくキオスクで働き始めるが、数日後、キオスクの主人に紹介されたテレビ番組制作会社のゼンゼンブリンクとザヴァツキのスカウトを受け、コメディアンとしてトーク番組に出演することになる。また、専属秘書のヴェラ・クレマイヤーからパソコンの使い方を習い、「インターネッツ」や「ウィキペディア」を通して情報を得て現代に適応していく。
 ヒトラーはトーク番組でトルコ人を罵倒する演説を打つと、その映像がYouTubeにアップロードされ、一躍人気コメディアンとなる。ヒトラーはその後、タブロイド紙との騒動や極右政党への突撃取材など社会の反響を巻き起こし、ドイツで最も有名なコメディアンとなる。

 ヒトラーは自分の人気を「ナチズムを支持する国民の声」と解釈し、再び政界に進出することを考え事務所探しを始める。しかし、ヒトラーは「ドイツを冒涜した」としてネオナチから襲撃を受け重傷を負う。襲撃事件が報道されると、社会はヒトラーを「ネオナチの暴力に立ち向かうヒーロー」として持てはやし、政界からは与野党問わず入党依頼が舞い込んで来た。ヒトラーは療養先の病院で社会の動きを見つつ、司会を任された新番組の構想と選挙運動の準備を進めていた。

 

タイムトリップ直後のヒトラー。

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現状把握に必死で可愛い。

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よくしてもらった新聞屋さん(キオスク的な場所)で情報収集。

個人的にはこの時点での彼の適応力と記憶力と情報収集能力と状況把握力にビックリ。(でも妙に納得)

 

新聞屋さんでお留守番の仕事(っていうかお留守番)を数日していると、ネタを探していた業界人のザヴァツキに出会います。

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サヴァツキとのYouTubeのネタ映像収録中に、(彼としては必然的に)犬を殺してしまうヒトラー。

その後死体をぬいぐるみのように使ってサヴァツキをからかいますが、一般的に見ると絶対にからかい行為じゃないと思うが・・・何しろ犬の死体だし・・。

 

全くの無名のヒトラーが、行く先々で次第に受け入れられていくのを見るのは、少し怖い気がします。

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映画の観客は彼の正体を知っています。だから怖いと思えますが。映画の中の一般人は彼を知りません。

突然現れたユーモアを備えた彼は無理を言うわけでも、無謀を訴えるわけでもないのです。一般的な問題点を的確にとらえ、人々の話に耳を傾け、そしてユーモアも交えながら訴えるのです。民族で立ち向かおうと。

 

そして現代社会に不可欠なネット世界に足を踏み入れます。

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ネットで受けると連鎖反応が起きます。

恐ろしい(と思えるくらいの過剰な)連鎖反応、そして彼は「ヒトラー芸人」という人気者にのし上がります。

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彼のことを本で読んだことはありましたが、たったそれだけでしたが、「あの時と同じなのか!?」というイヤなデジャブ感が拭えません。

吐きそう。そして怖すぎる。

彼の登場の状況も、民衆の心をとらえる演説も、何もかも同じなんじゃないかと思えてしまう恐怖があって、私は全く笑えませんでした。
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いつの間にか演説に心酔しているオーディエンス。

だって、彼の言葉は真実があるから。

 

遅ればせながら彼の正体を確信したザヴァツキは、結局は精神異常者扱いをされて鎮静剤漬けと白い個室に隔離される羽目になってしまいますが、ザヴァツキから離れたヒトラーは親衛隊を組織し、着々と自らの野望(=国民の選択)であるドイツ支配に向けて準備を進めるのです。

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ザヴァツキの上役(副局長)のゼンゼンブリンクのさらに上司、局長のベリーニ。的確な判断力と思慮の深さと冷静さを兼ね備えた美女。

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ヒトラーは彼女をレニ・リーフェンシュタールに例えます。レニ・リーフェンシュタール - Wikipedia(私もそう思う~(>_<))

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歴史は繰り返す、と一般的に言うけど、本当に今と昔は状況が何一つ変わらないのね。悲しいほど、それは顕著で。

 

下の子は最後のエンドロールの一般的な民族闘争、他者排除、デモと暴動の映像で心が掻き毟られたようです。

それは私も同じかもしれません。知識として理解しているものを目の前に引きずり出された感じです。

いえ、同じではありませんね。下の子にとっては、知識としても認知していなかったことですから。

 

この素晴らしい映画の広告の形態がどうあれ(コメディだとしたらブラック過ぎる)、観ればそのものの素晴らしさがわかるからね。

 

今は pray(祈り) しかありません。