「その男、ヴァン・ダム」（JCVD）
あらすじ
かつて人気アクション・スターだった男、ジャン＝クロード・ヴァン・ダム。しかし、最近の出演作はビデオスルーばかり、以前ハリウッド・デビューを手助けしたジョン・ウーには冷たく扱われ、再起をかけてなんとかものにした大作アクション映画の主役も、土壇場になってスティーヴン・セガールに横取りされる始末。
48歳を迎えてアクションにキレがなくなり、体力的にもそろそろアクション一筋では難しくなりつつあったが、かといって他ジャンルへの転身も難しい。キャリアの低迷は私生活にも影響し、金銭トラブルに巻き込まれた上、親権争いにも敗れるなど絶不調。疲れ果てたヴァン・ダムは心の傷を癒そうと祖国ベルギーへ帰郷する。
落ち目の彼だったが、ベルギーにおける人気は今も健在で、故郷の人々は彼をヒーローとして温かく迎えてくれるのだった。帰郷中のある日、彼は養育費を振り込みに立ち寄った郵便局で強盗事件に巻き込まれ、しかも、金に困った彼が事件を起こした事にされてしまう。
DVDの裏面には
「マジな演技か、悪乗りのセルフ・パロディか、はたまたヤケクソの開き直りか！？"スター"の内情を皮肉りながら自分自身を演じるヴァン・ダムの鬼気迫る演技は、これまでのイメージを破壊する！」
「時代から取り残された彼の"どん底"からの戦いが始まる！！」
という文言が載っています。
個人的には、そんな煽り文句は必要ないです。
真摯にJCVD（ジャン=クロード・ヴァン・ダム）が本人と向き合い、JCVDの新たな面を引き出した映画になっていると思います。
悪乗りでもヤケクソでも開き直りでもありません。
とはいえ、ヴァン・ダムは演技がうまいのか？、といわれると、えっと、ちょっとどもりがちになります(^^;)
しかし、ここまで自分（ヴァン・ダム）に向き合った映画はあるんでしょうか。（私は知らん。全部は見てないけどね）（Amazon Prime の「ジャン=クロード・ヴァン・ジョンソン」は、この後のものですし）
そもそも彼はビックリするほど自分に正直だから（と私が勝手に感じている）、演技ってしてる？全部素じゃないの？と思わないでもなかったりします。
オープンニングでの、かなり長い1カット。
ヴァン・ダムは流れるように戦い、敵はスムーズに倒れてる(笑)
時代劇でもここまで長いのは見たことがありません。ありえない。
演出として後半かなりバテてるし、終わった後で「47歳だからツライ」と自分で言ってる。そりゃあのシーンを再テイクはツライ。
でも、あれは演出を越えて、本当にツライと思う(笑)
地元で、ファンに頼まれると一緒に写真撮っちゃう。
みんながヴァン・ダムの苦労を知ってる。
「この街を出て 苦労して ハリウッドで成功」したと応援してる。
写真を一緒に撮ってもらってキャッキャウフフしてて可愛い。
お巡りさんも「この街を出て 苦労して ハリウッドで成功した」と言う。
もはや一般市民がヴァン・ダムの家族か親戚の人みたい。
ストーリー通りに話は進みます。
ヴァン・ダムは本当にいい人。
いい人、といったら語弊があるかな。素直で裏表がない人（それはイコール「（一般的な）良い人」ではない）。
途中、ヴァン・ダムの独白シーンがあるのですが（唐突にぶち込まれた感ははありますが個人的には好き）、あぁ、この人、素だ、演技できないわ。生きづらいわ。と思いましたね・・・（ここでグッとヴァン・ダムに引き寄せられてるのは既に策に嵌ってるのかな？、私。）
「とても つらかった」
「つらかった」
2回言ったよ。
本当に辛かったのね、ハリウッドでスターをするのって。
最後の最後で、娘ちゃんに面会に来てもえて、よかったね、と思いました。
そりゃね、一緒に人質になった人たち、ヴァン・ダムに世話になっておきながら彼のために何の証言もしないのかよ？とは思いましたが、刑務所の中でもヴァン・ダムっぽくてよかった。彼はあのままでいい。
結局、ジャン=クロード・ヴァン・ダムファンは「彼はあのままでいい」と思ってるんだと思う。
だから、どんな映画でも、B級でも低予算でも大作でもなんでも、好きなんじゃない？（>私は）
個人的には、特典の密着のドキュメンタリーが良かったです。（っていうか、この特典だけでもヴァン・ダムファンとしては満足です）
ヴァン・ダム（魂の風）
「魂の風」？どういうこと？まだ「風の魂」の方が理解できる気がする。
すごい翻訳です。
なんか素のヴァン・ダムって感じて、ますます好きになりました。
すごいしゃべってるけど、絶対この人、人見知りする人じゃない？相手の人とすごい相性が良かったのかなと思いました。
日々のトレーニングの重要性を教えてくれます。（饒舌）
この鍛錬があったからこその、後年のアクションの冴えがあるんですね。
私の好きな例のレジェンド達は、映画に出てもただのおじいちゃんになっちゃってて悲しい気持ちになることがあります。（特に消耗品のやつ）
しかし、ヴァン・ダムは違う。
彼のハイキックはいつも美しい。
「いつも」美しくあるための彼の努力は凄いと思います。
「修行の"合言葉"をいう者は信頼できる」
「オッス」
「サムライの掟」
さ、侍の掟！？押忍が？
それは知らなかったよ！
っていうか、「押忍！」っていう人、日本人でもそうそうないくない？（魁！！男塾くらいだわ）
それか、いかりや長介さんかな。
だからヴァン・ダムは心配で目が離せないんだよ！（母性本能）
