2006年にサンドラ・ブロックとキアヌ・リーヴスが主演した「イルマーレ」のオリジナル版で韓国の映画(2000年)です。
サンドラ・ブロックとキアヌ・リーヴスの「イルマーレ」はBlu-ray を購入するくらい好きだったので、韓国のオリジナル版をぜひ観たいと思っていましたが、Amazon Prime でなかなか無料になりません。
絶対に観て損はないと思っていたので、Amazon Prime の有料で観るより、DVDを購入したほうがいいかな、と思いました。(残念ながらBlu-rayが見つからない)
オリジナル版のWikipedia はこちら。
イルマーレ - Wikipedia
ストーリー
海辺の別荘に2年前に投函された手紙が届く。手紙のやり取りを始めると、男は時間軸が違うと気づく。そして未来では男が死んでしまい、女はそれを回避するために行動する。男の死は免れ、2人は出会うことができた。
3行しかない大雑把なあらすじですが、おもっいきりネタバレしています(笑)
2000年の古い映画だし、韓国のオリジナル版だからなのか、ハリウッド映画との扱い違いがちょっと大きいかも。
【あらすじ】
イルマーレ(海)と名付けられた海辺の家。
ウンジュはその家を出てアパートに移ります。自分の後に住む人に自分宛ての郵便物の転送のお願いする手紙をポストに残して。
その手紙を受け取ったのは新築の家に越してきたソンヒョン。
彼はこの家を「イルマーレ」と名付けた本人であり、さらに、彼は彼女より2年前の住人でした。
2年の時を超えてポストを通して手紙を交換する二人。
最初は時間がずれたお互いの存在に疑心暗鬼でしたが、次第に心の距離が近くなります。
つらいのは、愛が終わらずにずっと続いてること。失恋した後も。
忘れたい記憶が目の前によみがえると、とてもつらい。そんな記憶ある?
二人の心の距離が近づくにつれ、直接言葉を交わしたいと願います。
そこで二人は、ウンジュの時間の1週間後、ソンヒョンの時間の2年と1週間後にウンジュの故郷である済州島の海辺で待ち合わせをします。
しかし、そこにソンヒョンが現れることはありませんでした。
この2年間どんなことがあったの?
うっかり忘れただけならいいんだけど・・・
何故約束を忘れたんだろう
約束も彼女のことも忘れるはずはないのに
ウンジュはソンヒョンに好意を持っていましたが、交際していた相手との別れが決定的になった時、まだ自分はその相手を愛していることに気付きます。
ウンジュはソンヒョンに頼みます。
彼を忘れらないの
彼が私から離れないようにして
ソンヒョンはウンジュのため、彼女が交際相手と別れるきっかけになった喫茶店に向かいます。
僕が力になろう
一人で悩まずに
早く言えばよかったのに
今度は僕が祈るよ 君の愛に幸運が訪れることを
これまで手紙をくれて ありがとう
さようなら
ソンヒョンからの手紙を受け取ったウンジュは、ソンヒョンのことが気になり、彼が通っていた大学の研究室を訪れます。そこには済州島の海辺で建築中だった家の、カラーのデザイン画が飾られていました。
ソンヒョンの友人から、彼は2年前に誰かに会いに行く途中に事故で亡くなったこと、飾られているデザイン画は彼が愛する人のために描いたものであることを教えられます。
ウンジュはそこで初めて、あの時あの喫茶店で交際相手と話している最中に交差点で亡くなった男性はソンヒョンであること、自分の願いが彼を死なせてしまったことに気づくのです。
ウンジュはイルマーレに急ぎます。
待って
行っちゃダメ
行かないで
手紙をポストに託し、泣き崩れます。
それからしばらくして。
イルマーレを引き払うウンジュに、手紙を手にした男性が話しかけます。
「これから僕がする話、信じてくれる?」
ハリウッド版も素敵でしたが、オリジナル版はさらに素敵です。っていうか、どっちらかというとオリジナル版の方が好きです。
このあと、二人がどういう話を交わし、どういう未来を紡いでいくのか。とても余韻がある終わり方です。
こういう時空を超えたものって必ずパラドックスがあるものですが、それでも、つじつまは合ってると思うんですよね。
過去(ソンヒョン)から未来(ウンジュ)に送られたものは、破損もしくは紛失しているため、ウンジュの次元では存在することができません。
録音機はウンジュが交通事故にあったときに壊れてしまいましたし、手袋は海にさらわれてしまいました。
それに対して、未来(ウンジュ)から過去(ソンヒョン)に送られたものは、破損もしくは紛失の言及がありません。
耳当てはソンヒョンが実際に使って偶然を装いウンジュにアピールしていました。
残念ながら「ちょっとヘンな人」と思われて終わったようです。個人的にはギャップが可愛いと思うけど。
それに、ウンジュが飼育していた2匹の熱帯魚の1匹をソンヒョンに「お礼」としてポストを通して渡しますが、ソンヒョンが海に放すまで普通に生きています。
このことから、未来から来た物は、ソンヒョンの次元で存在することができると考えると、ウンジュ(未来)が送った最後の手紙をソンヒョンが受け取り、ソンヒョンから連続する次元のウンジュに話すことは可能です。
しかし、そうすると、未来が変わってしまいますよね。
ウンジュは、イルマーレを退去した後、再び訪れたイルマーレの室内で、モノクロのデザイン画を見つけます。気に入ったようで、そのまま持ち帰ります。
それはソンヒョンが「愛する人のために」描いたものでした。
ソンヒョンがウンジュと手紙のやり取りをしつつパソコンで観るのは、エッシャーのだまし絵「メビウスの輪」です。
もしかすると、二人はこの関係を無限にループしていたのではないでしょうか。
ウンジュの最後の手紙をソンヒョンが受け取り、彼女に「会わない」選択をした時点で過去に逆戻りするくらいの確変が起こった。
そして、今この映画を見ている私たちは、この二人が無限のループを抜け出し、直接出会い、別の未来を築く瞬間を見たのではないでしょうか。
っていうのは穿ち過ぎかなぁ。
何度も映画を観て、この考えに落ち着いたらスッキリしたので、私はこれでいきます。(何を)
イルマーレの影の主役。コーラ(犬)。
玄関に残ったコーラの足跡が可愛い。(我が家に欲しい)
ソンヒョンが未来のウンジュからの手紙を受け取った後、改めてウンジュと出会うためには、いったん彼はイルマーレを出なくてはいけません。(そうしないとウンジュがイルマーレに入居できないから)
そして、ソンヒョンが退去するときには、コーラをイルマーレに残さないといけません。(そうしないとウンジュはイルマーレの玄関でコーラと出会えないから)
コーラを置いて(捨てて)家を出るだなんてつらいだろうなぁ・・と思うけど、きっとすぐにウンジュと出会えるはずだと信じていたんだろうな。
だって、そうなる運命だものね。
ぜひ全部観て、ディテールまで観て、楽しんでください。