日々のつれづれ

大切なこともそうじゃないことも、ゴッチャマゼ

初冬の美術館巡り(ハンガリーと吉野石膏コレクションとミイラとハプスブルク家とサラ・ベルナール)②

東京(上野)にはお昼前に到着したので、ホテルに荷物を預けて、それから今回最初の美術館へ向かいます。

budapest.exhn.jp

ハンガリーといえば、下の子が進学したかった国です。結局進学は断念したけどね。(でもそのうち旅行で行くかもしれないね)

そこの2大美術館所蔵の絵画が観られるとなったら、観に行きますよ。やっぱり、個人的にも興味があります。

しかも、今回楽しみにしているものの1つに音声ガイドがあります。
私、音声ガイドは基本的に使いません。
音声ガイドに550円はもったいない(お高い)というのが主な理由ではありますが、その他に美術展で豪華絢爛に予算をかけているものの中では、有名だから起用して、つまらない通り一遍の内容で「コレ、しゃべるのは誰でもよくない?いっそのこと、もっと声がいい声優さんの方がずっといいわ」と残念に思うような場合があります。
そんな中、この美術展での音声ガイドは別格。(というか、今回はこれしか聞いてないから比較ができないのだけど)

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プロフィールからして、絶対外れなさそうだし。

 

さ。
お昼は向こうで適当に食べようかな、と、お昼抜きでメトロで乃木坂まで行くことにしました。

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直結って便利だよなぁ
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事後の写真ですけど、図録とポストカード(^^)
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ポストカードは、欲しい絵画物もが全部あるわけじゃないから、そこはちょっと残念ですよねー

 

さ、気に入ったとことだけピックアップです。

私は観るのは好きですが、別に美術を勉強してないし、詳しくないし、ただ個人的に楽しんでるだけです。

楽しみ方は人それぞれだよね、とぬるく思っていただければ。

 

「アリストテレスとフィリス」
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アリストテレス、といえば、超有名アレキサンダー(アレクサンドロス)大王の指南役ともいえる大哲学者さんです。
彼は教え子のアレキサンダー大王が愛人のフィリス嬢とイチャイチャしているのを、それって倫理に反するじゃない!?と苦々しく思っていたので、それをアレキサンダーに進言したら、それを聞いてブチ切れたフィリス嬢が(何なのあのジジィ)ってなもんで、大先生を色香で骨抜きにして馬乗りしちゃう(許可あり)って、どんだけなのよ、フィリスさん。(やるな)

まぁ、どんだけ理知的でも、愛欲には無力なんだなーと、年齢関係なしに、そう思います。(しみじみ)
なんかもう、アリストテレスがお気の毒になるレベルです。(憐憫)

 

「聖家族」
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モチーフとしては鉄板という「聖家族」。
キリストとマリア(母)とヨセフ(父)の3者の構図。
私がなぜかこの絵に強く惹かれたのは、キリスト(赤子)がウッカリ阻喪しそうな雰囲気が満載だから。(個人の感想)

なんだか見ていてハラハラします。(阻喪関係)

その他にはヨセフ父さんが、彼の扱いはこの絵に限らないんだけど、本当に老人扱いでかわいそうすぎる。マリアさんと同じ時期の人なんだから、もうちょっと若々しくてもいいのにねぇ?って思うわ。

 

「受胎告知」
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これ、すごくないですか?
受胎告知が超ドラマチックですよ。
まるで、周囲に祝福の風が巻き上がって、告知に躍動感があって、すごい。

そりゃ、男女関係もないのにいきなり受胎を告知されるのって、人生でドラマチック以外の何物でもないでしょうけど、他の絵画ではもっと穏便に告知されてましたから。部屋の中で、とか。
これ、すごい好きです。

 

「若い修道士の肖像」
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彼は普通の修道士さんです。
なんで一般の普通の修道士さんを描こうと思ったのか。
何か特別な経緯でもあるのかなあ。一般の修道士さんを描いても特に収入にならないだろうし、となると、単なる好意か善意か。
きっと私の好みの顔だったから、様々、思ったのかもしれません。

 

「聖ヨセフをカルメ修道会の守護聖人にするよう、アビラの聖テレサに促す聖母」
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このシーンについての詳しい事情はよくわかりません。
が、どうしても気になるのが、聖母マリア(一番上)の、『ハイ、スシザマイ!』っていうポーズです。
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超被るわ。

 

「聖ペトロの否認」
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例の、弟子のペテロがキリストのことを3回「俺、あんな奴知らねーよ?」っていうやつです。
でも、この絵を見る限り、作者であるヤン・ミーンセ・モレナールは、そんな宗教的主題より酒場のカードゲームをしてる輩を描きたかっただけでは?とも思えて。(あくまでも個人的主観です)

 

「受胎告知」
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ここでこの「受胎告知」を取り上げるのは、右隅のニャが可愛いから(笑)
この空間、すごい居心地よさそうじゃない?
猫はすべてを凌駕しますね。

 

「田舎の結婚式」
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ヤン・ステーン作。

一等楽しそうな、青い上着の演奏者が、ヤン・ステーンご本人ということで。なんて楽しそうだ。絵画に楽しそうな酔っ払いの喧騒が溢れてるよね。
とはいえ、右上の窓に見える花嫁と花婿の年齢の差とか、様々「なんかあるな、コレ」と思わせるようなキナ臭い結婚式だけでど、周りは騒いでてそういう花嫁・花婿の事情なんて関係ない感じが良くて。


「エウロパの略奪」
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ギリシャ神話では、超美少女エウロパはゼウスに一目ぼれされます。(ゼウスは当然妻帯者ですよ)
ゼウスはこのままの姿でいきなり近づいたら騒がれると思って白い牡牛に化け、エウロパに近づきます。無垢なエウロパは(どう考えてもおかしいけど牡牛に乗っちゃって)そのまま海を渡ってクレタ島まで一緒に行き、まあ、契るんですけどね。どうよ、昔の神、奔放すぎるね。

その、エウロパ。ガッツリ牡牛を撲殺しかねないくらいです(笑)
最初のパッと見、女性だと思いませんでした。超抵抗してる、抵抗というか殺しに行ってる。
こういうの、いいね(笑)

 

「小さな宝石箱」
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ちっさい子が、綺麗な宝石に光を当てて輝きをのぞき込んでいる様子。すごいわかる。

 

「パリの室内(本を読む女性)」
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「本を読む女性」
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上の2つはどちらもムンカーチ・ミハーイ作

ムンカーチ・ミハーイは元々農村や田舎の風景を描く画家さんなのですが、結婚してからは自宅でのシーンも書くようになりました。
での、風景です。
めっちゃ居心地よさげ。妻は愛されてますねぇ。

 

「ヒバリ」
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直で裸体が草花に触れるって、なんかチクチクして冷たそうだな、虫もいそうでヤだな、という単純な感想です。
にしても、この女性の腰のあたりのラインは完璧だな、と思います。

 

「フランツ・リストの肖像」
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ムンカーチ・ミハーイ作。
フランツ・リストといえば、私にとってのイメージは「超絶技巧のピアニスト」でしかなかったのですが、音声ガイドの金子さんの音楽と解説で、違う一面も少しかいま見れて、よかったな。

 

「ほこりっぽい道Ⅱ」
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ムンカーチ・ミハーイ作
舞い上がる土埃、停滞する空気、地平施栓の向こうにある太陽の光線。ぼんやり霞んで見える風景。

これね、好きです。

 

「村の鍛冶屋を訪れるケンタウロス」
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 「ちょっと、ここの蹄のココんとこをグッと削って欲しいんだけど」
 「ダンナ、ココはちょっと際どいですよ」
 「ココまで削ってもらわないと走るとき気になるから、やってよ」

と、いうような会話があるような気がします。(脳内)

 

「アーチェリーをする人々」
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的、近すぎるって!!

 

「ケシの実のケーキ」
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この正面のパン(ケシの実のケーキ)がグルグルしてて美味しそうでした。(感想はそれだけ)(あ、正面に見える絵画はキリストの磔刑ですが、何か意味があるのかはわかりません)

 

いやー、すごい良かった!楽しかった!
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音声ガイドもよかったー
要所要所でナビゲーターガイドの金子さんの話や音楽も聴けたし(^^)

 

すっかり時間が経ってしまいました。3時間くらいは居たかも。

まだお昼ご飯は食べてないのですが・・チラッと休憩するところのサンドイッチを偵察したらバカみたいにお高いので食欲がなくなってしまいました。(都会は物価が高いなぁ・・・)

時間的にすぐに三菱一号館美術館に行かないと閉館までに展示をちゃんと見れないかも。

 

うーむ、今日は止めるか?
でもなぁ明日必ず来れる保証はないしなぁ。

ちょうど(?)食欲もなくなったことなので、三菱一号館美術館へ行きます。

mimt.jp

こちらには、去年「ルドン―秘密の花園」展を観に行きました。
凄い素敵だったなぁ。(写真はその一部)
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そんなわけで今でもサイトはブックマークしてチェックしてるんですけど、今回の吉野石膏コレクションも面白そう。
なにしろ、私は近代美術が苦手で。そんな私でも、好きになれそうなものがサクッと観れそうな雰囲気がありました。それに、「グラン・ブーケ(大きな花束)」(上の画像)も展示されるそうだから、ぜひまた観たいしね。

 こちらは図録とポストカードのセット。(事後)
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楽しく見ました。

新国立美術館を午後3時半過ぎに出発し、お昼ご飯も食べずに三菱一号館美術館へ。
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ここ、本当に素敵なロケーションですよね。(しみじみ)

最初から大好きな風景画の連発です。(もう素敵すぎて泣きそう)

 

「テムズ河のチャリング・クロス橋」
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クロード・モネ

モネの睡蓮系はすごいなとは思いますけど、このテムズ河の霧の風景には、圧倒されました。霧に煙った全体に仄かに輝く水面、中央を走る機関車の煙。
好きな絵がまた一つ増えて幸せです。

 

「ロワン川沿いの小屋、夕べ」
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アルフレッド・シスレー

シスレーの絵はもともと好きですが、これもいいです。湾曲した水面の向こう側に何があるのか、見たくなります。

 

「モレのポプラ並木」
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アルフレッド・シスレー
この絵を見た時に、下の子は「お母さんの職場の並木道みたいだね!」と言ってくれました。
それだけを聞くと、まるで私が凄い美しい職場にいるみたいですね(笑)
いやいや、これほどまでではないけど、実際に職場は美しい風景です。恵まれてるなぁ(^_^)

 

「モンフーコーの冬の池、雪の効果」
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カミーユ・ピサロ

個人的に思うのですが、雪がこれほど積もる場所で、この時期に緑色の葉をそのまま残した草木がこんなにあるものですか・・・?それとも、まだ緑の時期だけど、寒気が入り込んで雪がたまたまこんなに積もっただけなのかな?
細かいかもしれませんが、雪国育ちの私には若干違和感。

きっと、季節外れの雪が積もった時期にたまたまスケッチしたんだろうな。
どっちにしろ、緑と白のコントラストは美しいです。

 

「緑と白のストライプのブラウスを着た読書する若い女」
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アンリ・マティス

この絵を見たときに、フト、黒田清輝の「湖畔」を思い出しました。(勝手に)
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何が同じかって言われるとちょっと困っちゃうけど、女性の佇まいが似てるんじゃなかな、と。
・・・ただストライプ柄が被ってるだけかなぁ?いや・・佇まいが被ってるのだと思いたいわ。感想は、自由ですから。

 

「大きな花瓶の花」
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モーリス・ド・ヴラマンク

実はここら辺の時代から、個人的に好きな絵があまりなくなるのですけど。(あくまでも好みですよね)
でもこれは好きです。華やかで強い。

 

「背中を向けた裸婦」
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モイーズ・キスリング

非の打ち所のない、まろやかな美しい背中のライン、まったりとした、湿度まで感じるような、皮膚感があります。なんなの、美し過ぎるわ。
しかも、背中がこんなにも近く感じるのに、顔面は目じりが強いけどサッパリしてます。
すげーな。(一言で感想が終わってしまった)

 

「五人の奏者」
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マリー・ローランサン

ちょっとビックリしたよね。この美しい娘さんがことごとく白くて。
彼女たちがそれぞれ持っている楽器やポーズにはそれぞれ意味があるんだろうけど(よくわからん)、見てて単純に白くて綺麗。その美しさはそれぞれを飾っている真珠みたい。

 

見終わったのは閉館ギリギリの18時。
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端折らないで観れてよかったな(^^)
それに、とても素敵だったし。
好きな絵が増えたので本当によかった!


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普段は仕事帰りにどこかに寄るだなんてしないので、この時間にウロついているのが新鮮です。

にしても流石にお腹が空いているので、早く帰ります。

 

 

明日も楽しみだなぁ(^_^)

 

 

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